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’05 アラシゴト~ニノ~

小さい時から人が苦手な子供だったね。集団行動とか嫌いだから、保育園なんて大嫌い。行きたくなくて、毎朝泣いてた。外に行くよりも家で一人でいる方が好きだったの。なんでだろうね、気がついたら、もうそんな感じだった。でも、保育園に行ったら、泣いたり、先生を困らせたりは絶対しなかった。事を起こして注目されちゃうのがイヤだったの。面倒くさいじゃない?「どうして泣いてるの?」とかいろいろ聞かれて。おとなしくしていれば、構われることもないからね。出来る限り、一人にしておいて欲しかったの。イヤな子供でしょ?自分でもそう思うよ。そんなんだもん、小学校に入っていじめられたのは、ある意味仕方がなかったのかもしれないよね。いろいろイヤなことをされたし、助けてくれる友達もいなかった。でも不思議な事に、そんな状況もそれほど辛くなかったんだよね。オレってなんか冷めてるところがあってさ、そこで抵抗するのも面倒くさい、みたいな。抵抗すれば、余計面白がってやられるだろうな、っていうのもわかってたし。だったら、勝手にやらせとけ、って思ってた。そのうち、そんなにヒドイことはされなくなった。それでも、学年が上がるにしたがって、友好的にはなったんだよ、それも裏を返せば、一人でポツンとしている方が目立って、いじめられたり、先生に何か言われたり、返って面倒くさいな、って思ったからなんだけど。普通に群れてた方が目立たないだろう、って。

中学に入る少し前、従兄弟が「写真を撮らせて」って急に家に来たんだよね。オレの周り、姉ちゃんはじめ女ばっかりでさ、小さい頃から、絵本も『シンデレラ』とかそんなのばっかりだったんだよ。それが急に「写真撮らせろ」でしょ、訳わかんないよね。ふざけて撮らせてやったの覚えてる。それが、オレの人生を変えちゃうんだから、わかんないもんだよね。

Jr.になって、初めての舞台『STAND BY ME』が終わってすぐ、ドラマ『天城越え』に出演することになったの。大人ばっかりの中に、子供はオレ一人。ボウズにされて、山奥のロケ地に連れていかれて、、。明日から撮影って日の夕飯の時、人がすごいいっぱいいたんだよ。でもオレ‘関係ねーや’って、隅っこで一人で食ってたの。そしたらプロデューサーが来て、「明日、お前のことだけを撮る為にこれだけの人間が動くんだぞ」って言ったんだよね。その時が初めてだったかもしれない、仕事で‘頑張らなきゃ’って思ったのは。前向きな責任感が生まれた瞬間だよね。それから一人でドラマに出ることが多くなって、芝居も好きになっていった。芝居って、いいも悪いも、手を抜いたら抜いただけの評価が全部、自分に返ってくるでしょ、それも好きだったな、分かりやすくて。

いろんなドラマに出させてもらったおかげで、いろんな役者さんに出会えた。それがみんな魅力的で、そのせいか、‘役者という人種’に興味が湧いてきたんだよね。それでなんで‘アメリカに行きたい’と思ったのかはよく覚えてないんだけど。アメリカで監督業とか映画制作の勉強しようと思った。オレが役者気取りで向こうに乗り込んで行ったところで、仕事なんかあるわけないんだし、だったら裏方の勉強して、裏方の仕事をした方が建設的だな、って思ったの。そうすれば、役者さんの気持ちが分かるしね。’99年12月で全部辞めて、アメリカに行く!って決めた。お金もちゃんと貯めたんだよ。

それなのに、その年の9月。ハワイで「今度デビューする嵐です!」って言ってた。あれは人生最大のピンチだったね。しかも船なんかに乗るから、すっごい船酔いするし・・・。最初、‘どうやったら辞められるかな’って考えてたのは事実。‘オレみたいな気持ちのヤツがいるだけで、嵐にとっては迷惑だよな’って思ってた。‘迷惑をかけたくない’っていう気持ちで仕事を続けてきて、その結果、一番大きい迷惑になるようなことをしてるのかもしれない、って。それが今まで続けられたのは、なんだろうね?・・・やっぱり責任感だったりするんだろうけど、、。嵐になって初めて出演した歌番組で、バックにJr.のみんながついてくれているのを見た時も胸にくるものがあったしね。ちょっと感動した。もうカッコ悪いことは出来ないな、と思った。

それと、大きかったのは、嵐の雰囲気の良さ。あのメンバーじゃなかったら、こうなってなかったかもしれない、って思う。5人でいる時がすごく楽しかった。これまで、人とつるむ事をしてこなかったオレが初めて味わう居心地の良さだったの。嵐になって初めて一人でドラマに出た時なんて、楽屋に一人でいるのが居心地悪かったもん。知らない間に5人でいるのが普通になってたんだね、なんか感じが違うんでビックリした。Jr.の時は一人が嬉しかったのに、大違いだったよ。

『HERE WE GO!』ツアーの時、メンバー全員で朝まで語ったでしょ、みんないろいろ考えてるんだな、って思ったよ。心の中で‘嵐いーよ!すごいよ!’って声援を送ってた。‘嵐らしさ’ってことについて、みんないろいろ迷ったり、考えたりしてるんだけど、オレから見たら、5人で集まってそういうことを話し合ってること自体が充分‘嵐らしい’って思えたから。人から「嵐らしいとは○○なことだよ」なんて明解な答えをもらうよりも、100万倍嬉しかった。自分でそれを感じ取れたことが。この先も嵐は間違った方向には行かないな、って思えたから。

芝居については、本当はあんまり喋りたくないんだ。オレという存在を認めてもらった仕事、っていう気はしてるけど。・・以前、雑誌でオレが芝居の事を語ってる記事を見て、その時共演していた先輩の役者さんに、「役者が芝居を語るなよ」って怒られた事があったの。オレ自身も好きで語っていた訳ではなくて、お仕事だから、っていうのはあったんだけど。でも、そうやって言ってもらえた事がすごく嬉しかった。その人の中で、オレはちゃんと‘役者’として存在させてもらえてるんだな、って思えて。役者でいて良かったな、って思えた。‘芝居のことは話したくない’と思っていたのも間違いではなかったんだな、って。

オレね、完全に職業病だと思うの。芝居やっている上に、自分で恋愛小説なんかも書いたりするでしょ、リアルに恋愛してる気になってるんだよね。そこで満たされちゃう。1週間だろうが1年だろうが、自分の小説の中では1行で進めたりするでしょ。ところが、現実ではそうはいかない。当たり前だけど・・。何事もない日常を2人で1分1秒積み重ねていかなきゃならない。それがどうしても‘楽しいもの’とは思えないんだよね。

オレね、今も基本的に‘人が苦手’なことに変わりはないんだけど、‘一人で生きている’と思ったことはないの。いろんな人に支えられて、守られて、ここまで来られたと思ってる。

傍から見ると、5年の方が区切りもいいし、盛り上がるのも分かるんだけど、オレの中ではきっとこれからも4年周期。ワールドカップが開催される度に、デビューした時の事を思い出すんだと思う。だって、ワールドカップがなかったら、嵐っていうグループも作られないままだったかもしれないし。今となっては感謝もしてる。そう考えられるようになった事が嬉しいし、それが嵐っていうグループの良さを表してると思うんだよね。

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二宮和也」カテゴリの記事

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